生活記録ノート

毎日のこと、旅行記、趣味などいろいろ綴っていきます。現在0歳児子育て中。

昔の旅~鹿児島・熊本~2016 1/30~2/3 ⑨

2月1日 ②

しかも下には東郷重徳の名前が…。これも、さっき見かけましたけど…。
そして、その一番下の方にあるのが、さっき出てきたおじちゃん、荒木秀樹さんだったのだ。

朴という姓が東郷やら日本名に変わったのは、土地株を購入したから、という話や、
これまた家族の中に特攻隊の人がいたので、知覧と関係があるのかと聞けば、
学徒出陣であったし、出陣して戻ってきただめなやつだから~!とあっけらかんと話してくれる。

奥の方を見学すると、ショーウィンドウの中にご立派な陶磁器がたくさん。
その荒木秀樹さんのお父様である、荒木幹二郎さんが様々な賞をいただいている方で、そのときの作品がずらっと。
大体が黒いもので、漆黒の中にもなんか美があり…なめらかで…本当に美しい…。思わず見とれてしまうほど。

秀樹さん自体は、元は東京の大学で彫刻を専攻していたのだけれど、お父様の影響で陶磁器作りに目覚めたのだという。
お父さんも、うれしかっただろう。秀樹さんの作品は、最初は白が基調のものだったけれども、
のちにお父さんが作っているような黒っぽい作品が増えてきていて、なぜだか聞くと、それは自然の流れだそう。(笑)

また、轆轤(ろくろ)がどうだこうだと書いてあるから、轆轤がなんだと聞くと、陶磁器を作るときに使う機械の名前だという。
「あぁっそっか。俺は生まれたときからあったけど、普通の人は知らないよねぇ」。
子供のころから轆轤が近くにある生活なんて、通常のサラリーマン家庭ではほとんど見られない。

 最後に、お父さんも今家にいるか尋ねたところ、「まだ生きてるよ」という回答をいただき、ふっと噴き出してしまった私。
会ってみたいなぁと思ったけれども、「まだパジャマだからさ。またきなよ」という軽いお返事をいただき、そこをあとにした。
毎年秋に陶芸祭りがおこなわれているようで、いつか行きたいな。

そして、すぐそばにある「アップルミント」という喫茶店へ。店へはいると、木造の素敵な店内…。
店の人がいないので、「すみません!」と呼ぶと、奥から優しそうな古風の女性が出てきた。

とりあえずコーヒーを頼み、先ほど買ったはがきで祖母への手紙を書こうと、取り出す。

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しかし、その後1時間ほどは、手紙を書かずにずーっとおばさんと話をしていた。
どこからきたの?という話(この手の話は、10回以上したなぁ)から始まり、今の日本社会について…。
益子焼の素敵なコーヒーカップに入ったコーヒーも美味で、会話も弾んだ。

なんでもこの方は19年前からやっているようだが、人も少ないから、ボランティアみたいなものよ~と笑う。
だけれども、たまにやってくる人と話して、あ~今日は幸せだった!って思うんだ、と少女のように笑うので、かわいらしいなぁと思った。

その方と沖縄の問題や、歴史の問題や、この先の未来やら、
たくさんの話をしていると、おばさん集団がランチを食べに来た。
そこで会話は一回終わり、私は手紙を書き始めた。
書体っていうのは、恐ろしいほどに今の自分の心情を表すものだなーと思う。
自信がないときは雑で汚い字だし、楽しくウキウキしたり、自信に満ち溢れているときは、
大きくて太い立派な字を書く気がする。

コーヒーの絵とともに祖母への手紙を書き終え、私もおなかが空いてきたので、そろそろ移動をしようかと重い腰をあげる。
「ちょっと待って」と、おばさんが折り畳み傘を出してくれて、でも、「大丈夫です!降ってないです!」と強がり、別れた。
「See You againだね」と笑うおばさんの顔が忘れられないな。
面白かったのが、おばさんは大隅半島という薩摩半島桜島錦江湾をはさんだ場所に位置する島出身なのだが、
そこを出るとき、おばあちゃんに「どんどん遠くにいくのね」と泣かれたという話。
同じ県なのに。おばあちゃん可愛いね。

つづく